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上澤 伸一郎; 小野 綾子; 小泉 安郎; 柴田 光彦; 吉田 啓之
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時では、経験のない海水による炉心冷却が試みられた。これまでの海水プール沸騰熱伝達試験から、海水塩が伝熱面上に析出することにより熱伝達が低下することが指摘されている。しかし、炉内には強制対流もしくは自然対流による流動があったと考えられ、流動が海水塩層の成長速度や熱伝達劣化に与える影響についても議論が必要である。本報では、沸騰伝熱面での海水塩析出に対する流動の影響を明らかにするため、海水塩析出層の挙動の観察が可能な狭隘海水流動沸騰試験装置を用いた、海水強制対流における熱伝達率計測ならびに伝熱面の可視化計測試験結果について報告する。天然海水と同じ塩分濃度3.5wt%の人工海水と10wt%の濃縮人工海水の比較試験を実施したところ、3.5wt%海水では海水塩の析出は確認されなかったのに対して、10wt%人工海水では伝熱面上に海水塩が析出することを確認した。海水塩が析出したときの熱出力に対して、伝熱面温度と熱伝達率について両海水での試験結果を比較したところ、3.5wt%海水については既定のヒーター出力に設定してからおよそ1000秒後には準定常に達したが、10wt%海水では伝熱面温度が上昇し続け、熱伝達率が低下し続けた。この温度上昇ならびに熱伝達率の低下は、これより低い熱流束条件では確認されておらず、伝熱面上に海水塩の析出が確認された熱流束のときのみで起きた。このように、強制対流下においても、濃縮海水では海水塩が伝熱面上に析出し、熱伝達が劣化することが明らかとなった。
小野 綾子; 上澤 伸一郎; 柴田 光彦; 吉田 啓之; 小泉 安郎*
no journal, ,
高圧域における沸騰現象の理解と限界熱流束モデルの構築に資するために、2.5MPaまでの圧力範囲において、プール沸騰垂直面の沸騰挙動を高速度カメラによって撮影した。画像を詳細に解析することで、生長気泡径の微細化や発泡点密度の増大など、大気圧での沸騰挙動との差異を見出した。広範な圧力範囲における機構論的限界熱流束予測モデルを構築する上で、高圧域でモデルに取り込むべき現象、パラメタについて考察した結果を報告する。